母がアルトサックスを始めました

私の母が最近、アルトサックスを始めました。

もともと母は若い頃、歌や楽器がとても好きだったそうです。

一時期は東京でプロを目指して活動していたこともあったといいます。

ですが私の父と出会い結婚すると、父の転勤で地方に住むことになりました。

ライブ活動などとは無縁の田舎の山村部でしたし、主婦が音楽活動をするなど地域の人から白い目で見られるような土地柄でした。

母は音楽の道を目指していたことは誰にも言わず、家事と育児とパート勤めを一生懸命にして過ごしてきました。

そして時はたち私はとっくに成人し、今年は父も定年退職しました。

母はようやく自由の時間を手にいれました。

でももう若い頃のように音楽活動をする体力も技術もなくなっていました。

母は何をするでもなく毎日なんとなく寂しそうに過ごしていました。

そんなある日、新聞広告をみていた母が急に通販のアルトサックスを指さして言ったのです。

「これなら今の私にもできるかな。ご近所の目も気にしないですみそうだし」と。

その顔はとても笑顔でした。

こうして届いたアルトサックスを、母は毎日とても楽しそうに吹いています。

家事を終えたら吹くと決めているようで、家のこともテキパキとはつらつとした表情でこなすようになりました。

アルトサックス教室のテキストを見ながら自分のペースで練習を重ね、ちょっとずつですが吹ける曲が増えています。

演奏している母の表情は、昔、音楽をやっていた頃とあまり変わらないのかもしれません。

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