馬肉のドッグフードしか食べない甲斐犬【コロ】

祖父の家に15年いた飼い犬は、私の叔母が拾ってきた野良犬でした。

祖父たちの話によると、小母が小学校から帰ってきた時に、小母の後ろを成犬になった野良犬がついてきて、勝手に、小屋に住み着いたそうです。

祖父の家には、物置にしている8畳くらいのボロ小屋があり、犬が勝手にそこに居続けるので、仕方なく、コロと名づけ、餌を与えて、首輪をつけて、飼うようになったらしいです。

飼いだして何年か経ったころ、祖父の友人で、日本犬のブリーダーをしている人が家にきて、コロをみて、びっくり。

「こんな雑種みたいな飼い方していい犬じゃない。こりゃ、頭のいい犬やぞ。しかも、甲斐犬の血統書がつく犬や。わしがいい、トレーナーを紹介するから、トレーニングせい」と、言われたらしいのですが、祖父は充分いうことを聞くし、べつにこだわりがないので、すぐさま断りました。

一代一主と言われるように、コロは祖父の言うことには絶対服従で、祖父が帰ってくると、すぐさま迎えにいったり、興奮して走り回ったりしていても、祖父の一声で、ぴたりと動かなくなるような犬でした。

私が物心つく時には、もうすでにいて、私が散歩に行くと勝手に首輪をはずし、よく脱走しては、勝手にかえってくる犬でもありました。

そのコロとの思い出で、特に印象深いのは、5歳の時に一人で、初めてコロの散歩をした時のことです。

「コロが道を知ってるから、紐もって、コロについて歩いたらいいから、行っといで」と、祖父に言われたので、疑問もなく一人で行きましたが、今の時代では考えられないことだと思います。

散歩をしていると、急にコロが吼えて暴れはじめて、勝手に首輪を外し、砂利のつまれた山に走って行きました。

この頃は、勝手に帰ってくるとは思っていなかったので、慌ててコロを追いかけました。

すると、砂利の山を登りきったところで、私はコロを追うのを辞めました。

コロは野犬3匹と牙をむきだして唸りあっているのです。

どうすることもできず、オロオロしている私。

野犬を追い払ったコロは、私のもとに帰ってきて、普段通りの散歩コースを堪能して、家に帰りました。

野犬から守ってくれたのか、と、私は焼き肉のカルビをあげにいきました。

ただ美味しいはずの焼肉なのにコロは絶対に食べてくれませんでした。

どうしてなのか祖父に聞いたところコロは小さいときから特別なドッグフードしか食べないんだと聞かされました。

それでさらにしつこく聞くとコロは馬肉のドッグフードしか食べないんだと言っていました。

甲斐犬の毛並みや健康のためには馬肉が一番良いということで馬肉で出来たドッグフードを当時は与えていたそうです。

そんなコロも祖父が亡くなると一代一主といわれる犬なのか、祖父の後を追うように数時間後に息を引き取ったそうです。

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